イジワルな君の一途で不器用な恋心




「一ノ瀬くん、今日は直帰でいいんだっけ?」



学校が終わった午前11時過ぎ。

帰る準備をしながら後ろの彼に確認するように尋ねた。



「うん。担当決めは春休みにしてたから。あとは俺と雷夜に任せて」

「そう? それじゃ、お先に失礼しまーすっ」



「またね!」と手を振って教室を後にした。


何の話をしていたのかというと、来週行われる部活見学について。


実は私達3人、所属部活が同じ。

今年度は一ノ瀬くんが部長、雷夜が副部長を務めることになったのだ。

今日はこれから部活紹介でするスピーチの打ち合わせに行くらしい。


毎年のことだけど、先輩達が卒業した後は一気に寂しくなりがち。

学年問わず、今年もたくさん入ってくるといいな。



期待に胸を膨らませながら電車に乗って帰宅。

部屋着に着替え、昼食を食べにリビングへ向かう。



「ただいま。あっ、ハナ! そこにいたの!」



ドアを開けると、ソファーの下でくつろいでいるチワワが視界に入った。
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