イジワルな君の一途で不器用な恋心
「バレーとバスケかな。あと1個は卓球。枠少ないからダメ元だけど」
「あー、去年も希望してたっけ。今年こそ選ばれるといいね。私はバレーが第1で、バドミントンが第2で〜」
私の机で記入し始めた新菜。
先週までは角と角で離れていたのだけど、テストが終わった日に席替えして、運良く前後の席になった。
「一ノ瀬くんは何選ぶんだろう。今年も水泳かなぁ?」
新菜の視線をたどる。
真ん中の列の1番後ろ。新菜は以前よりも近くなった反面、私はだいぶ離れてしまった。
去年個人種目で3位だったもんな。運動神経いいし背も高いからバレーやバスケもいけそう。
いつメンの希望競技が気になりながらも、頭の中では別の人物の顔が浮かんでいた。
◇
「──え、この1ヶ月で?」
「うん。自分でもまだビックリしてる」
お弁当でお腹を満たした昼休み。
相談会以降に起きた出来事を新菜に話したら、案の定驚かれた。
「そんなに変わっちゃったなんて……私のせいだよね」
「いやっ、新菜は悪くないから!」