イジワルな君の一途で不器用な恋心
この子は愛犬のハナ。私が幼稚園の頃に我が家にやってきたアイドル。っていっても、もう13歳のおばあちゃんだけど。
おやつをあげて頭を撫でると、満足したのか再びソファーの下へ。
甘えてくるけど、ちょっぴりクールなのよね。
まさに絵に描いたようなツンデレ……はぁぁ、たまらんっっ!
おとなしいうちにたくさん写真撮ろうっと!
「うるせーな、静かにしろよ」
バシャバシャ連写していると、不満だだ漏れの声が飛んできた。
「気になるなら部屋に戻って勉強したら? どうせ暇でしょ?」
「失礼な。俺だって忙しいんだよ。勝手に暇人扱いすんな」
つぶらな瞳のハナとは対照的な、目つきの悪いガキンチョ。
こいつは弟の大和。先月小学校を卒業したばかりの中学1年生。
まだ入学前なので、この時間も家に居座っている。
「いっちょ前に忙しいアピールしちゃって。毎日スマホゲームしてるくせに」
「は? ちげーし」
「えー、違うの? 友達とおしゃべりしてたの見たんだけどなー?」