イジワルな君の一途で不器用な恋心
顔を上げた彼女に説明するも、腑に落ちないのかジト目のまま。
「ならいいけど……本当に、大丈夫なんだね?」
「うん。新菜には感謝してるよ。ありがとう」
「…………」
「…………」
「……気、遣わなくていいんだよ?」
「…………バレてましたか」
気分が不安定なのは雨のせい。梅雨が明けたらきっと心も晴れやかになる。
そう信じて今日を迎えたのだけれど……新たな問題が発生したのだ。
「実は、2人が仲良くしてるのを見て、すごくモヤモヤしたの」
「嫉妬の再来?」
「多分。私だけ知らない話してたから」
話を振ってくれた。仲間にも入れてくれた。
解答欄全部ウで戸惑ったとか、先生の眼差しが鋭くて時計見る時ヒヤヒヤしたとか。笑い合っては共感し合った。
しかし、メインテーマは勉強会。
会話を楽しめたのは終盤で、全体の8割は知らない内容だったのだ。
「うわぁ、完全に2人の世界じゃん」
「まぁ、悪気はないとは思うんだけどね。テスト終わったばっかだったし。でも、ちょっと寂しくなって」