イジワルな君の一途で不器用な恋心

その日の放課後。



「──じゃあ、駅前の広場に集合でいい?」

「うん。本当にありがとう」



生物室前の廊下で一ノ瀬くんに頭を下げた。

一体何をしていたのかというと、遡ること約2時間前──。



『私の意見だけだと偏りそうだから』

『男心はね、男の子に聞いたほうが早いんだよ!』



5時間目の授業中、新菜から助言を受けて。進路相談も兼ねて話を聞いてもらうことにしたんだ。

それで今、一ノ瀬くんと約束を交わしたところ。


日時は今週の金曜日、お昼の1時半から。
場所は学校の近くにあるショッピングモール。

創立記念日でお休みなので、時間の許す限りじっくり聞いてもらう予定。

これだけでも充分ありがたいのに、なんと駅まで送迎付き。


徒歩でも行ける距離だから最初は断ったんだけど、「暑い中歩くのは大変だろうから」って言われて、お言葉に甘えちゃった。



「服装は、やっぱ長袖長ズボンだよね?」

「そうだね。パーカーにデニムか、上下ジャージがいいかな」

「わかった。中は半袖でもいい?」

「うん。手足が隠れれば大丈夫だから」
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