イジワルな君の一途で不器用な恋心

えっ。

思わず声が漏れてしまい、慌てて口を覆った。



「それ、どこの動物園?」

【学校がある町の。お前が愛してやまない推しがいるところだよ】



まさかのタクマくんがいるところだった。



【最初は電車で行く予定だったんだけど、バイクに変えた。そこそこ距離あるからさ。少しでもお金取っときたいだろうなと思って】



界隈は違えど、そこはオタク。金銭事情をよく理解している。


動物園に行く時の交通手段は、自転車と電車(定期券利用)とバス。運賃は片道180円。

年パスを持っているので費用はバス代だけだが、バイクならゼロ。


めちゃくちゃ行きたい。

4月に行ったきりで、ここ数ヶ月は飼育員さんのブログで我慢してたから。成長した姿をこの目で見たい。


けど……。



「ごめん、その日は先約があるから」

【そっか。了解。行きたいのに金欠って時は声かけていいからな。毎回は難しいかもだけど】

「ん。ありがとね」
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