イジワルな君の一途で不器用な恋心

電話を切って溜め息をついた。


会いたかったよタクマくん……。
でも、一ノ瀬くんとの約束を破るわけにはいかないんだ。


まぁ、空いてても、まだバイクに乗る心の準備ができてないのよね……。


電車で寄りかかられた時、心臓バクンバクン鳴ってたし。後ろにくっつくなんてしたら心臓破裂しちゃう。


来月で期限切れるからできるだけ行きたいけど……今は進路が大事。動物園も志望校決まってからにしますか。


気を取り直して服選びを再開した。







相談会当日。

腰に巻いていた上着に袖を通し、待ち合わせ場所の広場へ向かった。



「一ノ瀬くーん!」



木陰で休んでいる一ノ瀬くんを見つけ、ダッシュで駆け寄る。



「お待たせしましたぁ……」

「ふはっ、そんなに急がなくていいのに。まだ時間前だよ?」
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