イジワルな君の一途で不器用な恋心
電話を切って溜め息をついた。
会いたかったよタクマくん……。
でも、一ノ瀬くんとの約束を破るわけにはいかないんだ。
まぁ、空いてても、まだバイクに乗る心の準備ができてないのよね……。
電車で寄りかかられた時、心臓バクンバクン鳴ってたし。後ろにくっつくなんてしたら心臓破裂しちゃう。
来月で期限切れるからできるだけ行きたいけど……今は進路が大事。動物園も志望校決まってからにしますか。
気を取り直して服選びを再開した。
◇
相談会当日。
腰に巻いていた上着に袖を通し、待ち合わせ場所の広場へ向かった。
「一ノ瀬くーん!」
木陰で休んでいる一ノ瀬くんを見つけ、ダッシュで駆け寄る。
「お待たせしましたぁ……」
「ふはっ、そんなに急がなくていいのに。まだ時間前だよ?」