イジワルな君の一途で不器用な恋心
息切れする私を見て笑う一ノ瀬くん。
上下黒のデニムコーデ。リュックはグレーだけど、防具とヘルメット、手袋は黒。
全身に熱がこもりそうな格好で来られたら、時間前でも急いじゃうって。
「服、どうかな? 一応靴下も長めのを履いてきたんだけど」
ズボンを引っ張り上げて足首を見せる。
悩んだあげく選んだのは紺色のジャージ。
靴は動物園に行く時に愛用しているスニーカーで、中はシンプルな白Tシャツ。
到着したら上着は脱いで、下は赤のスカートに穿き替えるつもりだ。
「髪も中にしまったけど、大丈夫かな?」
「バッチリ。100点満点」
ダブルグッドサイン。胸を撫で下ろした。
彼の手を借りて防具を身につける。
「朝日さんはバイクに乗ったことある?」
「一応、雷夜のに乗ったことはあるよ。ヘルメットなかったからただ乗っただけなんだけどね」
「じゃあ、走るの初めて?」
「うん。だからちょっと緊張してる」