イジワルな君の一途で不器用な恋心

「注文するのはいいけど、多すぎると決めるのが難しくなるから程々にしなさい」

「はーい……」



しぼんだ声で返事をし、パンフレットを抱えてリビングを出た。部屋のドアを肘で開けて机の上に下ろす。


専門学校だけで10校は……頼みすぎたかな。

今月も短大のが届く予定だから、そろそろ置く場所を確保しないと。今日はとりあえずここに置いとこう。


種類別に分けた後、再度重ねて端に寄せた。







日曜日の夕方。



「はぁ……かっこいい……」



動物園帰りの電車内。スマホ片手に吊り革を掴み、撮った写真を眺める。


タクマくん、また一段とイケメンになってたなぁ。

毎回見る度に思うけど、本当、両親のいいとこ取りよね。さすが、動物園の美少年ゴリラ。


待ち受け画面に設定すると、アナウンスが流れて駅に停車した。乗る人達の邪魔にならないよう、奥に移動する。


休日なのもあって、平日よりも多い。
でも、朝の通勤ラッシュに比べたらまだマシね。


電車に揺られること数分。窓の外に見慣れた景色が見えてきた。

そろそろかな。えーと、定期定期……。
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