イジワルな君の一途で不器用な恋心

電車到着のアナウンスが流れ始めたのを利用し、大きく溜め息をついた。


まさか自分の中に、こんなにもワガママで醜い一面があったなんて。

自分のことを心が綺麗な人間だと思ったことは1度もないけど、ちょっとショックだな。リンコ軍団への執念が可愛く見えてきちゃうよ。


前の人に続いて電車に乗り込み、窓の外を眺める。


めちゃくちゃ悔しいが、雷夜の言動に毎日心をかき乱されていることがわかった。

ただ、このドキドキが一体どこから発生しているのかはわからない。


ドキドキに似た感覚……心をギュッと掴まれるような感覚は、雷夜以外にもあるのよね。


ミワワちゃんに上目遣いで見つめられた時、新菜にガバッと抱きつかれた時。

部活の後輩と交流している時も。


特に自分より背の低い子や小動物味のある雰囲気の子に対して、『可愛い!』『守ってあげたい!』って胸がキュンとするというか。


……うん、これはあれだね。キュンはキュンでも、母性本能をくすぐられて出てくるやつのキュン。

タクマくんを見た時に湧き出るやつのキュンだ。
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