イジワルな君の一途で不器用な恋心
流れる景色を眺めながら、たわいもない会話を続ける。
「中間も期末も、赤点は回避できたんだけど、平均点いかなかったやつが1個あるんだよな。琳子は自信ある?」
「まぁ、うん。全教科80点以上だったから。90点台の教科も何個かあったし」
「マジ? うわー、絶対4以上確定じゃん。俺最高で3.9しか取ったことねーよ」
小さい子どものように「いいないいな。羨ましい」と感情をだだ漏れさせる雷夜。
……何も、言ってこないな。
あれ? 私の勘違いだった? でも、明らかにこっち見てたし……。
「ん? どした?」
「あぁ、えっと、その……」
横目でこっそり見つめていたら、目が合ってしまった。
あぁもう最悪……。
どうしよう、思い切ってこっちから聞いてみる?
「こないだ市瀬ちゃんと一緒にいるの見かけたんだけど、何してたの?」って。
いや、逆に追及されるからやめといたほうがいいかな。
だって私、ヘルメット被ってても胸の内見抜かれちゃってたから。誤魔化そうとすればするほど怪しまれそう。
かといって正直に話すと、「なんで零士と遊びに行ったんだよ」って機嫌悪くなるわよね。