イジワルな君の一途で不器用な恋心
ゴニョゴニョと呟くと、ぶははっと盛大に吹き出されてしまった。
ツボに入ったのか、涙を拭っている。
「ねぇ、笑いすぎ」
「わりぃわりぃ。別に、いいんじゃね? 世の中成功してるオタクもいるんだし。認知欲しさに志したわけ?」
「違うわよ」
「なら堂々としろよ。きっかけはちょっとあれでも、今は真剣に向き合ってるんだから。俺は応援するよ」
頭をポンポンしてきた時と同じ顔で、肩をポンポンと優しく叩かれた。
あぁもう、ほんとなんなのよ。
小一時間前は散々トゲ投げてきたくせに。
「……ありがとう」
「ん。それでこそオタクだ」
「なにそれ。ってか、叩きすぎ」
「あぁごめん。痛かった?」
「そういうわけじゃなくて、その……」
「あ、ドキドキするからやめてよって?」
「……っ、うるさいな! このかっこつけ!」
背中をバシッと叩いてそっぽを向く。
悔しい。またかき乱されるなんて。
……でも、嬉しかった。推しの話すると、いつもからかわれてたから。
貶されなくて、受け入れてもらえて──今、雷夜と2人きりで良かった。
ミワワちゃんに対して若干後ろめたさを感じながらも、応援してもらえた喜びを噛みしめた。