イジワルな君の一途で不器用な恋心
最高のマッチ
「おはよう、朝日さん」
翌朝、昇降口で靴を脱いでいると、クラスメイトの男の子に挨拶された。
「おはよう。今日も朝から暑いね。5分歩いただけなのにもう汗だくだよ〜」
「そっか、朝日さん電車通学だっけ」
「うん。立石くんは徒歩通学だっけ。でもあまり汗かいてないね」
「あぁ、今日はお母さんに送ってもらったんだ」
「そうなんだ。毎日暑い中歩くのも大変だもんね」
ほんのり赤みがかった茶色の髪が印象的な立石くんは、1年生の頃からのクラスメイト。
勉強はあまり得意ではないタイプだけど、運動神経は抜群で、体育の成績は中学時代からずっと5なのだとか。
現在、以前私が座っていたドア付近の席に座っている。
「……あの、朝日さん」
「ん?」
「めっちゃくちゃ申し訳ないんだけど……靴を、脱がせてくれませんか?」
唐突なお願いに目を丸くしたまま隣を見た。
足元に視線を落とすと、右足だけサンダルを履いている。
「ケガ、したの?」
「……うん。昨日の体育で張り切りすぎちゃってさ」