イジワルな君の一途で不器用な恋心

叫びたい気持ちを抑えてそっとアプリを閉じた。

もう少し余韻に浸りたいけど、帰ってからゆっくり堪能しよう。



「可愛い〜」



隣に目を向けると、雷夜が口元を緩ませてスマホを見ていた。

な、なんだあのデレデレ顔は……。



「あれ? 写真変えたの?」



チラッと覗いてみたら、先週まで海だったロック画面が犬に変わっている。



「おぅ、昨日たけおに会いに行ったんだよ」

「へぇ、可愛いね」



嬉しそうに目を細めている茶色の大きいワンコ。

この子はたけおくんといって、雷夜の祖父母が飼っているワンちゃんだ。秋田犬に似ているが、一応雑種らしい。



「またバイクで行ったの?」

「もちろん。ここ最近、俺のバイクの音を覚えたみたいでさ。聞こえた瞬間、ムクッて起きて玄関に走っていったって。マジ可愛すぎだろ」



お出迎えしてくれた姿がすごく可愛かったと、メロメロの様子。

ご覧の通り、彼は大の犬好き。そして、高校生にしてバイク乗りである。
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