イジワルな君の一途で不器用な恋心
私だけのシークレットメッセージ
慌ただしかった1学期が終わり、夏休みに入った。
「おはよう、雷夜」
午前7時55分。駅のホームにて。
半月ぶりの端正な横顔に声をかけた。
「おはよ。遅かったな」
「風検あったの忘れてて。髪の毛何回も結び直してたら遅れちゃった」
言い訳しながら隣に立つ。
今日は終業式からちょうど2週間が経った火曜日。
なぜ制服姿で駅にいるのかというと、部活の朝練……ではなく、登校日だから。
私達の学校では、8月の前半と後半に登校日が設けられており、この2日間は風紀検査と学年別の特別授業を行なっている。
3年生は進路関係の内容で、卒業生の話を聞くらしい。
「寝坊じゃないからね」
「まだ何も言ってねーんだけど」
「まだ? やっぱ何か言おうとしてたんじゃない。何て思ったのよ」
「学校あったの忘れてたのかなーって。そんなに気になるか、俺の頭の中」
「なるに決まってるでしょ。あんたの日頃の言動見てたら」