イジワルな君の一途で不器用な恋心

ポソッとお礼を言い、ミルクティーを飲む。


不思議だ。額には汗が浮かんでいるのに、心にはじんわり温かさが広がってる。

ほんのちょっぴり、心が楽になったかも。



「目黒くーん、お掃除終わったー?」



すると、パステルオレンジのドアが開いて、中から店員さんらしき女の人が顔を出した。

年齢は30代後半くらいで、胸元の名札には……。



「あ、店長。ちょうど今終わりました」

「ありがとう。あら、お友達? もしかして彼女さんかしら?」

「っい、いえ……! 同級生です……っ! 長々と話し込んでしまってすみませんでしたっっ!」



早口で謝り、小走りで立ち去る。


あぁ、私はなにを1人で勝手に慌ててるんだ……。

こんな逃げ方したら余計お店に行きづらくなるじゃないか……。


駅の中に入ってミルクティーを一気飲みし、火照った顔を冷ました。

その夜、お腹がゆるくなったのは言うまでもない。
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