イジワルな君の一途で不器用な恋心

陰口を聞いた翌月、話を聞きつけた上司から一方的に怒られ、指導係を剥奪された。

それを機に糸が切れてしまい、年度末で退社。

5年以上が経った今でも、切ない思い出として残っている、と。



「大人になっても変わらないんですね……女子の世界って」

「やんなっちゃうよね。でもね、当時の後輩とは今もちょくちょく会っているの。仲のいい子限定だけど」

「えっ! 何を話すんですか?」

「世間話がほとんど。たまに、子どもや家族の話とか。何人か親になった子がいるから」



当時から一緒に食事に行く仲で、開店日は大きな花束を抱えて来店してくれたらしい。

現在も、誕生日や記念日はカフェに招き、特製のケーキでお祝いしているんだそう。



「退社する日、『助けてあげられなくてごめんなさい』って、みんなで頭下げてきたの」

「上司を説得できなくて……って意味ですか?」

「うん。でも、今すっごく幸せだから! 辞めて良かった〜! って思ってる。可愛いお客さんにも出会えたしね♪」
< 235 / 314 >

この作品をシェア

pagetop