イジワルな君の一途で不器用な恋心
ふふふっと口角を最大限に上げて、「おかわりいかが?」とコーヒーポットを見せてきた春岡さん。
赤面しつつ、マグカップを差し出す。
「約束を破っちゃったのは良くなったけど、友達を優先しないといけないほどの事情があったのかもね」
「裏ではバチバチしてる、みたいな……?」
「そうそう。陰口言ってた子も、表面上は穏やかだったから。憶測で決めつけるのは良くないけどね」
◇
春岡さんの言葉が後押しになり、ミワワちゃんともう1度話し合おうと決心した。
帰宅後、震える指で文字を打ち、謝罪文と一緒に送信。
したのだけど──。
「やっぱ今からでも変更したほうがいいかな……」
生物室前の廊下に立ち、ミワワちゃんとのチャット画面とにらめっこする。
【昨日は酷いこと言ってごめんね】
【もう1度会って話したいです】
【今日の放課後、空いてたら一緒に帰らない?】
【明日の昼休みか放課後、空いてる?】
【今、部室の前にいるんだけど、少し出てこれないかな? 急でごめんね】