イジワルな君の一途で不器用な恋心

聞く耳持たず。

完全に私が犯人だと思い込んでおり、本人が否定しても全く耳に届いていない。


ねぇ、どうして? 私達、毎週会ってたよね?

アルバムだって、ハイテンションで見てたじゃん。

恋バナも、甘えるなら年上だって、ニヤニヤ顔で共感してたじゃん。


先輩よりもクラスメイトの肩を持つのはごく自然なことなんだろうけど……だからって、こんな、一方的に決めつけるなんて……っ。



「行こう、ミワワちゃん」

「っ、待って……っ」

「こんにちはー。お、小型犬1年ちゃんじゃん」



部室に入ろうとするところを呼び止めたタイミングで雷夜が現れた。



「目黒先輩! お久しぶりです!」

「今日はどうしたんですか?」

「今日で部活最後だから、元気にやってるかなーって見に来ちゃった。なんか騒いでたみたいだったけど、何かあったの?」

「あぁ、聞いてくださいよ。実は琳子先輩が──」



後ろを振り返らず、立ち止まらず。
階段を駆け下り、学校を出た後も駅まで走った。

帰宅して部屋に駆け込み、荷物を肩にかけたまま頭を抱えてうずくまる。
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