イジワルな君の一途で不器用な恋心
そんなある日──。
『おい、朝日 琳子はどこ?』
放課後、突然見知らぬ女の先輩が教室に乗り込んできた。
『朝日は、私、ですけど……』
『てめぇ……よくも私の彼氏を取りやがったな……!』
『えっ……? なんのことですか……?』
『とぼけんな! この、泥棒猫が!』
わけもわからず、いきなり胸ぐらを掴まれて、頬を引っ叩かれた。
──夏祭りから2週間が経った、8月下旬の登校日のことだった。
翌週、私と先輩2人、それぞれの両親と先生で集まり、話し合いが行われた。
語られたのは、委員会で仲良くなった先輩は、女の先輩と付き合っているということ。
私と出会った頃、倦怠期に入っていたらしく、乗り換えようとしていたのだと聞かされた。
なんとか誤解は解けたものの……修羅場に遭遇したクラスメイトからは、腫れ物扱いされるようになり、少し距離を置かれてしまった。
無視されているわけではなかったので、静かに過ごしていたのだけど──。
『酷い……っ、どうしてお姉ちゃんが……』