イジワルな君の一途で不器用な恋心
仲間に背中を擦られながら泣く部活の後輩。
なんと彼女は、女の先輩の妹だった。
それも、後輩の中でも1番仲のいい子。
『事実は知らなかったとしても、悲しませたことには変わりないです』
『出て行ってください』
悲しみに満ちた瞳で告げられた。
本当は辞めたくなかったけど……1度ついた悪印象はそう簡単には取れなくて。
だんだんと居心地が悪くなり、10月末、引退を待たずして退部。
進級しても傷は癒えることはなく、人間不信に陥り、クラスメイトと距離を縮めることができずに卒業した。
ポタッ、ポタッと、手の甲に涙が落ちる。
もう、1人になるのが嫌だった。
だから今度こそはって。
地元から離れた場所でやり直そうって。
それなのに……。
「どうして……っ」
どうして居場所を奪うの。
どうして除け者にするの。
どうして、築き上げた友情を、信頼を、引き裂こうとするの。
私はただ──何気ないことで笑い合える仲間が欲しかっただけなのに。