イジワルな君の一途で不器用な恋心
ティッシュを1枚取って顔を拭いていると、玄関のインターホンが鳴った。
宅配便か勧誘の人かなと思ったその時。
「雷夜くん! どうしたの?」
大和の驚く声に涙を拭う手が止まる。
「琳子に用事?」
「おぅ。ちょっと話したいことがあって。上がっていい?」
「う、うん。まだお母さん帰ってきてないし」
私の許可も得ずに勝手に上げた大和。
えっ……は、はぁ⁉ なんで⁉ 嘘でしょ⁉
立ち上がってアワアワしていたら、ドアがコンコンコンとノックされて。
「琳子ー、いるー? 入るぞー」
「やっ、待って!」
返事を無視した雷夜がドアを開けて入ってきた。
「……おい、なんだよそれ」
「た、盾よっ」
咄嗟に手に取ったゴリラの写真集で顔を隠したものの。
「なに、追い詰められると思ったの? 大丈夫、しねーよそんなこと」