イジワルな君の一途で不器用な恋心
呆気なくひょいと取り上げられてしまった。
顔を隠すものを奪われ、そっぽを向いて対処する。
「じゃあ、何しに来たの。漫画でも借りに来たの?」
「ちげーよ。……お前が泣いてねーか、心配で」
ドキッと心臓が音を立てた瞬間、そっと右頬に手が添えられた。
優しい目で見つめられて、再び視界が涙で滲んでいく。
「……聞いたんでしょ? 私がミワワちゃん悲しませたこと」
「……聞いたよ」
「なに勝手なことしてくれてんだよって思った?」
「……あぁ」
やっぱり。説教しに来たんだ。
いくらなんでも度が過ぎるだろって。
待ち伏せしてまで会おうとするなんて異常だぞって。
副部長として指導しに──。
「でも、お前がやったって信じてねーからな」
えっ……?
「傷つけてしまったと後悔した時点で、謝るべきだとは思った。けど……元をたどれば、俺の指導不足だから……」
「やめて。それ以上言わないで」