イジワルな君の一途で不器用な恋心
溜め息交じりにそう言うと、私の後頭部をグッと自分の胸に押しつけて。
「俺ら何年の付き合いだと思ってんだよ。11年だぞ? 知り合って半年の人間と比べたらどっち信じるか一目瞭然だろ」
「そ、そんなの、理由にならないよ……っ」
「はぁ? 充分なってんだろ。確かに凶暴なとこあるけど、それは俺がちょっかいかけるからで。あと、ハナのこと溺愛してるし」
こじつけに近い理由を付け足し、もう片方の腕を背中に回してきた。
トントントンと、心地よいリズムが背中に響く。
「やめて……っ、勘違いしそうになる」
その音が、感触が、以前なぐさめられた時よりもものすごく優しい。
溺れてしまうんじゃないかと怖くなり、体を離そうとしたけれど……。
「いいよ別に」
逃がすまいと言わんばかりに強く抱きしめられた。
「お前になら、いい」
なに、それ……。
意味わかってんの? 冗談じゃないんだよ? またかっこつけてるつもり?
ねぇ、なんとか言ってよ。真に受けちゃうよ……?
頭の中でハテナマークが飛び交っているけれど、今は、私を信じてくれたことが嬉しくて。
「俺は絶対離れねーから」
「っ……」
自分も腕を回して、大好きな彼の胸の中で嗚咽を漏らした。