イジワルな君の一途で不器用な恋心
素直になれない口づけ

騒動から8日が過ぎた土曜日。



「誰かノリ持ってるー?」

「あるよー」

「ねぇねぇー! 鉛筆削りどこー?」

「はーい、こっちにありまーす」



教室のあちこちから飛び交うクラスメイトの声に半分耳を傾けながら、画用紙に描かれた鶏の唐揚げに色鉛筆で色をつけていく。



「あぁ〜、なんだかお腹空いてきた」

「ふはっ、まだ10時前だよ?」

「だってぇ、美味しそうなんだもん」



半分だけ色づいている唐揚げを見てよだれを垂らす新菜。

ジュルリと音まで立てていたもんだから、慌ててティッシュを渡した。


通常なら、学校はお休み。

なんだけど、実は明日、文化祭が開催されるので、前日にあたる今日は準備日。


私達のクラスは唐揚げのお店をすることになっており、現在新菜と2人で校内に張るポスターを制作している。



「学校終わったらカフェ寄ろうかな〜」

「お昼ご飯買いに行くの?」

「それもだけど、目黒くんのコーヒーが飲みたいなぁ〜って」
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