イジワルな君の一途で不器用な恋心
ボキッと色鉛筆の芯が折れる。
「あれれ? ドキッとしちゃった?」
「っ……そりゃ、するでしょ。いきなり名前出されたら」
小型の鉛筆削り機に茶色の色鉛筆を差し込んで回す。
先月末、再テストを行ったそうで、無事に全種類合格したと知らされた。
今月から来店解禁になったのだけれど、このように、放課後は文化祭の準備で忙しく、まだ1度も行けていない。
「一緒に行く?」
「いいや。今日は休むって言ってたから」
「ええー、そうなの? まぁ、しょうがないか。明日も学校だし」
色鉛筆を抜いて、再び画用紙の唐揚げに色をつける。
「それにしても、琳子が後輩ちゃん達とバチバチしてたのは知らなかったよ」
「……ごめんね。1ヶ月近くも、気、遣わせたよね」
「ううん! 言い方悪いけど、仲のいい子が裏切るみたいなことしてたなんて、話すだけでも勇気いるよね」