イジワルな君の一途で不器用な恋心

色を塗る手を止めて「大変だったね。お疲れ様」と労う新菜に、「ありがとう」と微笑んだ顔で返した。


願書の受付が始まったり、職員室前に求人表が張り出されたりと、進路モードに変わった2学期。


大学進学を希望する新菜も、毎日のように生徒指導室に出入りしていたから、相談しづらくて。

打ち明けたのは、騒動が収まって少し日が経った一昨日だった。



「良かった。ミワワちゃんが極悪人じゃなくて」

「警戒するタイプって言ってたもんね」

「覚えてたの?」

「覚えてるよ。大げさでやばそうって」

「やばいまでは言ってないよぉ!」

「あははっ、ごめんごめん」



「もーっ」とふくれっ面を浮かべる新菜の頭を撫でてなだめる。


休み明け──今週の月曜日。

1ヶ月ぶりに駅前の広場で落ち合い、お互いに非を謝罪し合った。


なぜ雷夜ではなく友達を優先してしまったのか聞いたところ。

お泊まりメンバーは全員部活が一緒で、その中に雷夜と同じ大型犬グループ所属の子がいたらしい。
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