イジワルな君の一途で不器用な恋心
バイト先を知っているのは、私とミワワちゃんの2人だけ。
友達に頼んでしまうと、見つかって騒ぎ立てられる上に、他の部員にも話がいき、複数人でおしかけるかもしれない。
別のお店も提案したそうなのだけど、多数決で決まってしまい……仕方なく引き受けたという。
昼休みには、小型犬グループの後輩達を呼び出し、額の絆創膏の謎も含めて再度説明。
『疑ってしまって申し訳ありませんでした』と深々と頭を下げられ、無事仲直りした。
……したのは、良かったんだけど……。
「で、どうなの? 進展は?」
「いや……特に何も」
「えええっ! 嘘でしょ⁉ だってもうほぼ両おも……」
慌てて口に手を当てて阻止した。
「もう、声が大きいよ」
「ごめんごめん。ほんとに、ないの?」
「ない。いつも通り。普通に挨拶して、普通に談笑して、普通にバイバイするだけ」
普通が多すぎて、なんだか悲しくなってきた。
『いいよ別に。お前になら、いい』
『俺は絶対離れねーから』