イジワルな君の一途で不器用な恋心
あれだけ強く抱きしめてきて、惚れそうになっちゃうくらいキザなセリフ吐いたくせに。
あいつ、登校1番何て言ったと思う?
『おはよー、琳子』だからね。
照れくさそうに顔真っ赤にしながらじゃないよ。いつもの顔、のほほーんとした表情で。
家まで駆けつけてくれたことに関して、改めてお礼を言った時も同じ。
『目の腫れ治まって良かったなー』って。
心配してくれたのは純粋に嬉しかったよ?
でもさ……あんまりにもさっぱりしすぎじゃない?
思わず、あの抱擁は夢だったのか……? って疑っちゃったよ。
「戸惑ってるの見て愉しんでいるのかな……」
「いやぁ、そこまで腹黒くはないと思うよ。傷心から復活したばかりなんだし。気を遣ってくれてるのかもよ?」
「そうなのかなぁ……」
「それか、本当は嬉しいけど、顔に出ないように我慢してるとか」
我慢……要は、照れ隠しってこと?
まぁ、あいつの性格を考えると、ワンチャンあるかも。負けず嫌いだし、ちょっと俺様気質だし。プライドも高そうだもん。
あっちもあっちで、私にからかわれるのが嫌なのかしら……。
「大丈夫だよっ。だって明日、一緒に踊るんでしょ?」