イジワルな君の一途で不器用な恋心
ボキッと、再び色鉛筆の芯が折れた。
いやいやいや、まだ付き合ってもないのに早いって。今の新菜、ミワワちゃんよりも大げさだよ?
っていうか、鳥って大体オスがアピールするんじゃなかったっけ? メスがやる種類もいるのかな?
……と、今はそんなことよりも。
「ひざまずいて手を差し伸べて、『姫、僕と踊っていただけませんか?』……なーんて」
「おーい、新菜さーん」
「『もう、しょうがないなぁ』って照れた顔で手を取る……はわわわ、たまらな〜い!」
「…………」
……妄想の世界に行ってしまった新菜を連れ戻さねば。
両肩を揺すって現実世界に引き戻し、色塗りを再開させたのだった。
授業3時間分の時間が過ぎたところで、ようやく準備が終わった。
学校を後にして駅へ向かっていると。
「琳子先輩!」
「ミワワちゃん!」
横断歩道の信号待ち中にミワワちゃんと合流した。
「準備お疲れ様です」
「こちらこそお疲れ様。ミワワちゃんのクラスは何やるんだっけ?」