イジワルな君の一途で不器用な恋心
「ご注文はなんですか?」
「全種類1個ずつください」
「わー、大人買いですねー。お1人で食べられるんですか?」
「違います。新菜と一ノ瀬くんと3人で食べるんです」
「あ、そういうことでしたか。てっきり食いしん坊さんかと思いました。それは大変申し訳ありませんでした」
白々しい態度で謝罪し、電卓を打ち始めた雷夜。
バイトで習得した丁寧語を流暢に並べたのだろうけど、これまた間に挟んだ言葉で台無し。
見りゃわかるでしょうよ。6種類よ? しかもそこそこ分厚いやつが2個入って1つ分よ?
はぁ……まったくもう。本当に私のことが好きなのか不安になってくるんですけど……。
「3030円お預かりしましたので、400円のお返しです」
「はい。どうも」
「ありがとうございました」
お釣りと商品を受け取ってお店を後に。校舎に入り、空き教室へ向かう。
【買えたよ。そっちはどう?】
【今地鶏の列に並んでる! あと5人くらいで買えるかな】
【俺はちょうど今買い終えたよ】