イジワルな君の一途で不器用な恋心

こそっと尋ねてきた新菜にわかりやすく動揺し始めた一ノ瀬くん。

むせて咳を繰り返す彼の背中を擦る。



「ごめんね! 大丈夫?」

「……っ、うん。自転車だと帰り道1人だから、親御さん心配するかなって」

「わぁ、紳士だね〜。その様子だと、一ノ瀬くん達もダンスパーティー参加する感じ?」

「…………うん」

「へぇ〜、そっかそっかぁ。ラッブラブだね〜」



「楽しんでね!」とニヤニヤ顔で付け足した新菜。


新菜、もうそれくらいにしてあげて。

興奮する気持ちはわかるけど、これ以上は一ノ瀬くんが照れすぎて死んじゃうよ。


耳まで真っ赤な彼に水筒の蓋を開けて渡す。


遡ること昨日の午後。


クラスのグループチャットに、『一ノ瀬くんが中庭で女の子とイチャイチャしてる』という内容のメッセージが来て。

チャット上でも、今朝登校してきた時も、クラスメイト達からめちゃくちゃいじられてたのよね。


目撃者の立石くんいわく、本人に送るつもりが間違えたとのこと。


だが、私はわざとなのではないかと踏んでいる。
この2人、体育の授業でペア組むくらい仲良しだから。
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