イジワルな君の一途で不器用な恋心

琳子が上半身に防具を着けている間に、華奢な脚に膝あてを装着する。


──3週間前の後夜祭。

帰るタイミングで、琳子から不意打ちでキスされて。

お互いに想いを伝え合い、俺達はめでたく両想いになった。


家に押しかけた時もだけど、特にあの時はマジでほんとに、大声で叫びたいくらい嬉しかった。

『え? 夢見てんじゃなくて? 現実なのか⁉』って、頭の中がお祭り騒ぎだったもんな。


まぁ、少し心残りがあるとすれば、告白する前に琳子を悲しませたことだな。褒め返さなかったせいでポコポコ殴られたやつ。

他にも、告白する前にキスしちゃったっけ。


俺の思い描いていた理想とはだいぶ違ったけど……結果的に付き合うことができたからいっか。


全て装着し終えた琳子にヘルメットを被せ、出発準備完了。琳子を後ろに乗せてエンジンをかける。



「それじゃ今から出発しまーす。休憩挟むけど、具合悪くなったらすぐ知らせろよ」

「了解でーす!」



車が来ていないかを念入りに確認し、ゆっくりとバイクを走らせた。


今日は中間テストが終わって2日が経った日曜日。

受験勉強の息抜きも兼ねて、これからデートに行くのだ。
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