イジワルな君の一途で不器用な恋心
ハンドルに取りつけたスマホで経路を確認しつつ、琳子のアシストで右左折を繰り返して進む。
行き先は動物園。
だが、タクマがいる動物園ではなく……。
「なぁ、ツヨシってどんな見た目してんの?」
「ええー、今ぁ? 着いてからでいいじゃん」
「気になるんだよ。顔の特徴とか、体型とか、ヒントくれよ」
信号待ち中に尋ねてみたものの、「紳士な男の子だよ」と、ざっくりした返答で濁されてしまった。
告白が成功した後に探るつもりでいたツヨシの正体。
知ったばかりの頃は頑なに答えてくれなかったのだが、友人から恋人に変わった今、“関係ない”では済まされない。
今後も長く付き合っていくためにも、なるべく隠し事はないほうがいいと説明したら、ちょっと渋ってたけど、納得してくれて。
『私の口から話すよりかは、実際に顔見たほうが安心するだろうから』と言われて、このデートが実現したってわけ。
ただ、あまりにも情報が少ねーんだよなぁ。
今のところわかってるのは、「動物園で働いている」と「年上で紳士気質な人」の3つのみ。
動物園のホームページでそれっぽい人を捜そうとしたんだけど、『嫉妬に駆られて暴走したら危ないでしょ』と止められてしまった。