イジワルな君の一途で不器用な恋心

それもそうだよな。安全運転で行くと約束したし。

もし暴走なんてしたら、それこそ、「あんたの運転怖い」ってバッサリ言い捨てられそうだし、俺のバイクに2度と乗ってくれなくなるかもしれない。


めちゃくちゃ気になるが、動物園に着くまでの辛抱だ。


3回休憩を挟み、運転することおよそ3時間半。
目的地の動物園に到着した。

入園料を払い、地図をもらって中に入る。



「あぁ〜……すっげー獣のにおいがする」

「ちょっ、来て1番にそれ言う?」

「だって動物園来るの超久々だから。そもそも、この動物園初めてだし」

「え、そうなんだ。最後に行ったのいつ?」

「んええー、多分小学生じゃねーかなぁ」



記憶を遡ってみたけれど、高校は当然、中学時代も行った覚えは見つからなかった。


動物園の思い出でハッキリ覚えてるのは、小学校の遠足で、羊とヤギにエサやりしてたら、目の前でメェェェェって鳴かれて号泣したこと。

あとは、鳥を間近で観察できる建物の中に入って、これまた至近距離でピェェェェって鳴かれてボロ泣きしたな。


当時はまだチビで弱虫だったから、図体がデカい動物を怖がるのは当然っちゃあ当然なんだけど……唯一の記憶が、泣いてたやつしかないって。情けねぇ……。
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