イジワルな君の一途で不器用な恋心

「り、琳子〜、ここまで来て冗談はやめろよ〜。いくらムキムキでも、さすがにゴリラは──」

「冗談じゃないわよ」



無理やり笑顔を作って隣を見てみたけれど、至って琳子は真剣な表情を浮かべていて……。



「彼はニシローランドゴリラのツヨシくん。23歳。正真正銘、私の初恋相手よ」



は、はぁぁぁぁぁぁーーーー⁉



「ちょっ、嘘だろ⁉ どこが紳士なんだよ!」

「どこからどう見ても紳士じゃない! 毎日たくさんのお客さんが来ても、嫌な顔1つせずに楽しませてあげて……。私が転んだ時だって、心配して様子見に来てくれたのよ⁉」



他のお客さんとゴリラをビックリさせないよう、小声で言い合う。

いやいやいや、確かに性格は優しいのかもだけどさ。



「だからって、誰もゴリラとは思わねーだろ……」

「ごめん。絶対バカにされると思ったから……」



一気に脱力し、ガクンと肩を落とす。


んなガキくせぇことするわけねーのに……。

まぁでも、これまで散々推しの名前間違えたり、オタク仲間がいないのをいじってきたから自業自得か。
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