イジワルな君の一途で不器用な恋心
……って、ん? 今、家族と言った?
「え、ツヨシとタクマって、血繋がってんの?」
「そうよ。父親だもの。タクマくんは私が小4の頃に生まれたから、かれこれ8年近く推してるわね」
いきなり発覚した衝撃の事実。
威力が強すぎて、琳子に脇腹を叩かれるまで信号が変わっていることに気づかなかった。
マジかよ。メンタル強っ。
だって、子どもが生まれたってことは、結婚したわけだよな?
失恋相手の子を推す……ゴリラだからこそできることなんだろうな。
「ちなみに、ツヨシとは出会って何年になんの?」
「私が5歳の時だったから、13年ね。さっき、転んだ時に〜って話したの、あれ、出会った時の話なの」
「ふーん」
つまり、優しさに惚れてしまったってわけか。
「じゃあその頃から毎月押しかけてたんだな」
「う……まぁ、ね。でも、彼女と付き合い始めたって聞いた時は、しばらく行けなかった」
「彼女って、後のタクマのお母さんのこと?」
「そうそう。誕生日のお祝いで連れてってもらったんだけど……」