イジワルな君の一途で不器用な恋心
なかなか絞りきれず、難航していた志望校決め。
2学期に入っても決めきれなかったのだけど、後夜祭の帰り道に、雷夜から自身の志望校を勧められて。
確認したらパンフレットだけ取り寄せていたので、早速見学と説明会に行った。
校内設備や学年ごとのカリキュラム、授業形式が自分に合っていると感じたのはもちろん、交通の便も良く、家からも通える距離。
好条件が揃いまくっていたため、何度か見学に行ったのちに第1志望校として願書を提出。
見事合格を果たし、来月から一緒の専門学校に通うことになったのだ。
「専門でもよろしくな、りんコブラさん」
食器を洗い終えた彼が、数時間前の母親とそっくりな表情で顔を覗き込んできた。
久しぶりのコブラ呼ばわり。
いつもなら、眉根を寄せて睨みつけるところだけれど……。
「あー……実は私、来月でヘビ卒業するのよね」
「ええっ⁉ どういうこと? メイクデビューするからちょっと目つき優しくなるよって?」
「メイク初心者の人間が目力軽減させるほどの技術を持ってるわけないでしょ。髪切るからってことよ」