イジワルな君の一途で不器用な恋心

耳上のラインで結んでいてわかりにくいが、解くと腰のあたりまである。


一人暮らしするわけでもなければ、登下校も高校の時と同じ駅を利用する予定。


ガラリと生活が変わる、とまではいかないのだけれど……中学も高校も、1年生の頃は毎日大変だったのを思い出したから。

授業スタイルとか部活とか、電車通学とか。全然慣れなくてよく体調崩してたなぁって。


しかも今年はバイトを始める。

今まで以上にクタクタになるんじゃないかと思い、お手入れのしやすさを考えてバッサリ切ることにしたのだ。



「そっか。じゃあしばらくはスネイクテールは見られないってことか」

「うん。残念だったね」

「別に、寂しくなんかねーし」



顔を覗き返すと、そっぽを向かれてしまった。


はははっ、拗ねてる拗ねてる。

付き合ってもうすぐ半年経つんだから、かまってほしいなら素直に言えばいいのに。



「撮る?」

「何を」

「写真。見納めに、一緒に撮る?」

「……ん」
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