イジワルな君の一途で不器用な恋心
枕を抱えたままベッドに座り、横に倒れ込む。
……なんかいい匂いする。これはシャンプー? それとも石鹸系の香水?
首だけじゃなく頭までいい匂いまとってるなんて。雷夜のくせにムカつく〜〜っっ。
「何やってんの」
光の速さで起き上がると、いつの間にかドアが開いていて、おぼんを持った雷夜が立っていた。
ひゃあああーー! バカバカバカ! ノックくらいしなさいよーー!
って、自分の部屋なんだからするわけないよねー!
「人様のベッドを荒らすんじゃねーよ」
「し、してないわよ! エッチな本ないかな~って探してただけ」
てへへと笑ってみせたものの、怪訝な顔がドン引き顔に早変わり。
タクマくんのぬいぐるみを取り返した時と全く同じ目で見ている。
「お前な……初めてのお家デートでエロ本探しするやつがいるかよ」
「ごめんごめん、ちょっと気になって。持ってるの?」
「ねーよ」
「本当にぃ? 1冊も?」
「あぁ」
「セクシーなお姉さんが出てくる漫画とか、水着姿の芸能人が出てる雑誌とかも?」
「それもないって。好きなやつがいるのに、わざわざ買う必要ねーだろ」