イジワルな君の一途で不器用な恋心

溜め息をつきながらおぼんを置き、マグカップをローテーブルに並べ始めた。

ドキッとしつつも、言われてみればそうだなと納得する。


ワンコインちょっとの値段でも、犬グッズかバイクグッズに使いたいわよね。



「ん? それさ、私で妄想してるってこと?」

「……そうだよ」



ピタッと動きを止めたかと思いきや。

呆れた様子だった顔に腹黒い笑みが現れた。



「来るなぁぁ! このドスケベピンシャー!」

「枕のにおいを嗅いでたやつに言われたくねーよ」



近づいてくる悪魔を枕で攻撃したものの、効果はなく。ダメージを与えるどころか呆気なく武器を奪われてしまった。

枕を元の位置に戻した彼が隣に座る。



「琳子、ここがどこだかわかってる?」

「っ……ら、雷夜の部屋でしょ」

「そうだな。今、どの上にいるかは?」

「……いい匂いがする雷夜のベッドの上」

「どんな匂いだった? シトラス?」

「……シャンプーと石鹸」

「わー、ガッツリ嗅いだな」
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