イジワルな君の一途で不器用な恋心

ギシッとベッドの軋む音が耳に届いた時には、顔を覗き込まれていた。


普段と変わらない意地悪な表情。

ただ1つ違うのは……心なしか、私を見つめる瞳に少し熱がこもっているところ。



「っ、あの……」

「ん?」

「す、する、の?」

「え? 何を」

「…………大人の、イチャイチャ」



まだ心の準備ができていなくて、時間稼ぎしようと咄嗟に口を開いたのだけど。

またもや、ぶはははっと盛大に笑われてしまった。



「なんだ、そんなこと気にしてたのか?」

「だって、家に誘うってことはそういう……」

「しねーよ。今日はお前の手料理が食べたくて呼んだだけだから。つーかもうすぐ親帰ってくるし。ちちくりあった後に一緒に飯なんて気まずいだろ」



涙を拭いながら「心配すんな」と、私の頭をポンポン。

優しい手つきと眼差しに、全身に走っていた緊張が和らいで、強張っていた顔が緩んだ。


のもつかの間。



「あー……また乙女チックな顔して。ムカつく」
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