イジワルな君の一途で不器用な恋心
迫りくる鋭い眼光から逃げようと薄い胸板を押し返した瞬間、首元から芳醇な香りがふわっと漂ってきた。
「あっ、コーヒーっ」
「いいよ、まだ熱いから」
話を止めるな目を逸らすな。
そう言わんばかりに両腕に力を込めた雷夜と視線がぶつかる。
「今日は俺のことだけ考えてて」
独占欲丸出しなセリフ。
告白された時と同じ、揺らぐことのない真っ直ぐな目を向けている。
だけど、瞳は小刻みに揺れており、理性を必死に抑えているのが読み取れた。
そりゃあそうだ。
せっかく2人きりになれたのに、一緒にご飯だけ食べて終わり。
……なんて、そんなの私だって寂しすぎる。
だから──。
「わかった」
両肩に手を置いて、そっと、一瞬だけ、触れるだけのキスをした。
「ツヨシくんのことは考えないで、雷夜のことだけ考えるね」
「お前なぁ……」
いつもの仕返しのつもりでイタズラっぽく笑ってみせると、ストッパーが切れたのか、マットレスの上に押し倒されて。
「どこでそんな煽り方覚えたんだよ」
甘い熱とコーヒーの苦みを含んだ唇が、私の下唇に優しく噛みついた。
END