イジワルな君の一途で不器用な恋心
加害者に続き、被害者とも遭遇していただなんて。
連日同じ人に狙われて怖かっただろうな。駅員さんに伝えといて本当に良かった。
と、安心したのもつかの間、気になる点が1つ。
「入学して2日目でバイトに? すごいね」
尋ねようとしたら、雷夜に先を越されてしまった。
「どこ受けたの?」
「コンビニです。通学路にあって……あっ、あれです」
彼女が指差したのは、交差点の隣にあるコンビニ。
そういえば、先月アイス買いに行った時、バイト募集の看板がレジの横に置かれてたな。
高校生可能って書かれてたから、それで応募したのだろう。
だけど……。
「マジ? 俺たまに寄ってるよ。学校行く前にお金下ろしたりしてる。でも、ここよりも地元のほうが通いやすくない?」
口を開きかけたが、またも先回りされてしまった。
古松さんが住んでいる場所は、黒金高校の最寄り駅から電車で30分ほど上った大きな町。
一ノ瀬くんが昔住んでいたらしく、どんな感じか聞いてみたら、建物や道路など、あらゆるものがデカい上に多い、と。