イジワルな君の一途で不器用な恋心

もう、また勝手に読んで……っ。


暑いのは日光が当たってるだけ。

決して、肘ドンにドキドキしてるとか、全身が密着しているからではない。


そう何度も自分に言い聞かせるけれど……。



「ちょっ、大丈夫か?」

「っ、大丈夫……」



車内が揺れる度に香りがふわりと舞い、鼻腔をくすぐる。


この清潔感溢れる香りは、シトラスではなく石鹸。

むしろシトラスは……今朝、私がつけてきた香り。



「……変態雷夜っ」

「バカっ、なに言ってんだ。やめろ、こんな時に。勘違いされるだろ」



匂いを嗅がれていたことに気づいて、ボソッと言い返した。……まぁ、私も人のこと言えないけど。


学校の最寄り駅まであと二駅。

どうか、これ以上人が乗ってきませんように。

電車に揺られながら、叶わない願いを何度も心の中で必死に呟いた。







数分後、降車する駅に到着した。

学校に足を運び、昇降口に貼られた張り紙でクラスと教室を確認。他クラスの雷夜と別れて3年2組の教室へ。
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