イジワルな君の一途で不器用な恋心
「っは、はぁぁぁ⁉」
目を丸く開いて眉尻を吊り上げた雷夜。
あ、図星だったみたい。
「そっかそっか。悔しいよね。こっちは毎日鍛えてるのに」
「勝手に哀れむな。つーか嫉妬してねーし」
いやいやいや、行動と最後の一言から、どう考えても羨望の目を向けてるとしか思えないんですけど。
「またまたー、強がっちゃって。大丈夫よ。今はヒョロヒョロでも、大人になれば筋肉付くって、うちのお父さんが言って──」
すると突然、手首を掴まれた。
落ちた写真集を拾う隙も与えられず、近くの壁に追いやられる。
「さっきから聞いてりゃ、ヒョロヒョロだの強がりだのバカにしやがって」
「ちょっ、なによいきなり」
「そこまで言うなら振りほどいてみろよ。ほら」
もう片方の手首も掴まれて、両方とも壁に押しつけられた。
また生意気なことして。これくらいどうってこと。