イジワルな君の一途で不器用な恋心
見ると昔の家族写真だった。
写っているのは、小学生の頃の私と、まだ可愛げがあった頃の大和と、少し若い両親。
そして……。
「ツヨシくん、元気かなぁ……」
名前を口にした途端、淡い思い出がよみがえった。
5歳なりたての年中さん。誕生日のお祝いで、動物園に連れて行ってもらった時だった。
多分テンション上がってて、園内を走り回ってたんだろうな。
盛大に転んでうずくまっていたら、心配そうな様子で近寄ってきてくれて。
もう10年以上も前だから、記憶はおぼろげなんだけど、澄んだ黒い瞳だけは今も覚えてる。
写真立てに入れて机の上に飾った。
彼に会いたいがために、毎月両親を振り回していたなぁ。彼女ができたって聞いた時も、毎日泣いてたっけ。
転勤した後も年1で会いに行ってはいたけど、今振り返れば、軽いストーカーだったわね……。
ははっ、これが恋は盲目ってやつか。
整理を終えたついでに掃除していると、ゲーム機の充電が完了した。コードを抜いて電源を入れる。