イジワルな君の一途で不器用な恋心

ドアの向こう側から大和の声が聞こえた。


あー、やめやめ。これ以上はキリがない。


心配なのはわかるけど、まだそうなると決まったわけじゃない。取り越し苦労で終わる可能性だってある。


それにもう10時近くだし。あいつだって長時間のゲームで疲れてるはずだもの。気になっても隅から隅までは見ないわよ。


大丈夫大丈夫と、心の中で繰り返し唱えながらお風呂に入る準備をした。







翌朝。



「はい、どうぞ」



雨音が鳴り響く駅のホームで雷夜に紙袋を渡した。



「遅れてごめん」

「いいよ別に。じゃ、俺からも」



ほい、と差し出された犬柄の封筒。


おー、柴犬だ。可愛い〜……って、よく見たらお年玉の袋……。しかもご丁寧に名前まで書いちゃってる。

大きさ的にピッタリだけど、もっと他になかったのかよ。



「にしてもお前、エグい技覚えさせてんなー」
< 66 / 314 >

この作品をシェア

pagetop