イジワルな君の一途で不器用な恋心
ドアの向こう側から大和の声が聞こえた。
あー、やめやめ。これ以上はキリがない。
心配なのはわかるけど、まだそうなると決まったわけじゃない。取り越し苦労で終わる可能性だってある。
それにもう10時近くだし。あいつだって長時間のゲームで疲れてるはずだもの。気になっても隅から隅までは見ないわよ。
大丈夫大丈夫と、心の中で繰り返し唱えながらお風呂に入る準備をした。
◇
翌朝。
「はい、どうぞ」
雨音が鳴り響く駅のホームで雷夜に紙袋を渡した。
「遅れてごめん」
「いいよ別に。じゃ、俺からも」
ほい、と差し出された犬柄の封筒。
おー、柴犬だ。可愛い〜……って、よく見たらお年玉の袋……。しかもご丁寧に名前まで書いちゃってる。
大きさ的にピッタリだけど、もっと他になかったのかよ。
「にしてもお前、エグい技覚えさせてんなー」