イジワルな君の一途で不器用な恋心

登校早々にこやかに挨拶してきた、ガタイのいい長身の男子生徒。


彼は一ノ瀬 零士(れいじ)くん。2年生の頃からのクラスメイト。

綺麗な黒髪と切れ長の大きな目が特徴的で、その姿はまるで黒猫そっくり。実は雷夜の幼なじみでもある。



「おはよう一ノ瀬くん。今日も天使の輪が輝いてますね〜。さ、どうぞどうぞ」

「ありがとう」



席を立った新菜と入れ替わるように一ノ瀬くんが着席した。

いきなり褒められたからか、照れくさそうな顔を浮かべている。


黒猫似というだけあって、一見クールで近寄りがたそうな雰囲気。だけど、性格は新菜と同じタイプ。

意地悪な誰かさんとは違って、穏やかですごく優しいんだ。



「ねぇ、ちょっと聞いて! 雷夜ったら、また私のことコブラ呼ばわりしてきたの!」



いつメン全員が揃ったところで、早速私は数十分前に起こった出来事をぶちまけた。



「なるほど。今年も平常運転だったわけか」

「そう! それに、ポニーテールをスネイクテールっていじってきて……」
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