駆け出しの恋
third
目が覚めると朝だった。
俺は上半身を起こし、隼美を見つめた。
『宗哉...く...』
『俺の夢見てるのか?』
少し恥ずかしくなって慌て目を反らす。
部屋は白い壁で、照明もお洒落なガラスの飾りがついていた。
一人住まいにしては広い。
『...起きて...たの?』
俺がきょろきょろしてると隼美が目を覚ました。
『うん。おはよ...』
『おはよう』
隼美は恥ずかしそうに笑う。
ドキドキした。
笑っただけなのに...
不意に部屋の電話が鳴った。
『?誰?』
隼美はベッドから下りて電話を取った。
『はい。誠さん?...あ。ええ。....』
誠(まこと)?
男だと分かると少しチクリとした。
『はい。あ、また...』
隼美が受話器を置く。
『誰?』
俺が訊くと隼美は申し訳なさ気に笑う。
『親が決めた相手...』
しばらく沈黙が流れる。
『....俺、隼美がほしい。』
自分でも何を言ってるか分からなかった。
『え?』
『隼美の両親が決めた相手でも、俺..奪うよ..そいつから...』
『宗哉く』
『宗哉で良い...』
俺はベッドから下りて隼美の前に立った。